ベトナムで働く生活:繊維工場労働者

大量生産業は近年のベトナムでのめざましい成長を支えてきました。その成功は、数百万人というフィンヴァンハイのような労働者の努力の上に成り立っています。
ハイサンは1987年にフエで生まれ、職を求めて400マイル南にある、ベトナムの商業都市であるホーチミン市に移住しました。

貧困地区にある作業場と住居兼用の建物に、兄妹と共に暮らしました。ハイさんが日中にアパレルメーカー、カルティナの大きな工場で働いて稼いだお金では足りず、家族は不足分を補てんするため、深夜まで織布作業を続けました。
「ホーチミン市で働いて得られる給料も労働条件も、全体的に悪くありません。問題なしです。何とかやっていけるくらいは稼いでいます。」とハイさんは語ります。

ハイさんは、繊維業界で10年勤めてきました。16歳で配送係としてスタートし、その後大きなメーカーに移り、織布工場の仕事に就きます。そこで生産された衣類は、ヨーロッパ・日本・アメリカのデパートや高級店で売られています。通常は、ハイさんは10時間シフトの勤務をこなします。始業時間は午前7時で、終業時間は午後5時です。可能な時はたいてい残業をし、通常シフトのほかに、2〜4時間働きます。

ハイサンが現在クラス小さな家は、かつて墓地だった場所にあり、そこに妹と、妹の夫、そして、ハイさんとは別の生産業の仕事を求めて越して来たばかりの一番下の弟と暮らしています。
家でも収入を増やすために家族全員で働きます。衣服製造の個別注文をこなし、稼いだお金は両親とポリオを患う妹への仕送りに充てます。

ハイさんの当面の願いは妹が健康でいられることです。また、将来的にはホーチミンの街で家族を持ちたいと願っています。
「家族と暮らすことができたらと願っています。今のような繊維工職人として働くのはとても過酷です。」とハイさんは語っていました。

ベトナムで働き、生活する外国人

最新の統計によると、ベトナムでは、60を越える国から訪れた7万5,000人もの外国人が暮らし、働いています。
そして、ハノイの夜は外国人にとっては驚きで溢れています。

東洋の感触

ベトナムで暮らす主な理由は、他の国と比べて生活費が格段に安いことです。そして、比較的どこでも簡単に仕事を見つけることができることでしょう。「私はベトナムで働いて、初めての食べ物に挑戦することが好きです。ベトナムの人々はたいていとても友好的で、たくさんのベトナム人や他の国の人と友達になるチャンスがあります。」そう話すのは、ノエルさんで、アイルランド出身の英語教師です。

「もちろん、興味を持てるかどうかは別として、簡単にはいかないこともあります。例えば、ベトナムの「ビザと就労許可」は費用が高く、取得するのが困難です。雇用先からはっきりした返事をもらうのも難しいこともあります。」と、ノエルさん。

中国出身のジェファソン・リウさん(36歳)は、次のように述べています。「ベトナムの人々はとても働き者だと思います。食べ物もおいしいし、私の好みです。店員の中には英語やその他の外国語を流暢に話せる人もいます。」

旅行代理店の経営を5年間やってきて彼は、「ベトナムの経済が急成長していること、そして今後の成長の可能性も大きいということ、ベトナムはそれなりに安全だということ」を認めています。さらに、ベトナムでビジネスをしていて面倒だったことについても述べています。たとえば、複雑な手続きや、重複しがちな意味のよく分からない政策などです。

ベトナムでは多くの外国人が積極的に社会活動に参加しています。ジェームズ・ローズさんは、ジャーナリズム・コミュニケーションアカデミー(AJC)のフルブライト奨学生です。彼は「私はフレンドシップ・ビレッジでの仕事が心底好きです。枯葉剤の被害を受けたベトナム人をサポートするため、まもなく発売となる戦争や戦域での体験について私が書いた本の収益は、全てフレンドシップ・ビレッジに寄付します。」

ベトナムの印象を聞かれてジェームズ・ローズさんは次のように話しています。「ベトナムの人は人懐こく、働き者です。私の文化とは違い、伝統やマナーが全く異なりますが、彼らと一緒にいることが本当に好きです。」

ジェームズ・ローズはノエルの意見に次のように賛成しています。「ベトナムの人々は直接的な反応はしないし、多くの場合、事実や本心を表に出さないようにしていて、そういったところはうんざりしています。彼らは自分たちのことを礼儀正しいと思っていますが、私たちは正直じゃないと考えています。この文化の違いは大きいです。」また、こうも述べています。「ベトナムに来た外国人が働いていて共通して苛立ちを覚えることは、上の立場にある人を不快にさせまいと、多くのベトナム人が決断を下すことを恐れていることです。」

彼は語気を強めて言います。「結果的に、もし何かがうまくいかなかったら自分達が責められるのだという心配をして、何も適時に終わらないように感じます。外国人はこの状態に心底苛々させられます。」そしてこう付け加えました。「欧米人が好むのは、『果敢に攻め』、『だめなら自分なりに何とかして失敗から学び、間違いのないように進んでいく』人間です。」

ベトナム 外国人労働者への政策緩和

ベトナムで仕事に励む外国人のビザや就労許可に関する規則が、この数年で頻繁に変更されています。政策や政策の実施について僅かに変更されるため、規則に関する現在の状況は、ホーチミンで暮らす外国人居住地や社交場でいつも出てくる話題です。

就労許可申請手続は時間のかかる複雑な作業で、多くの書類に、多くの事業所から承認をもらって提出する必要があります。健康診断書、犯罪歴証明書、資格証明書(そして当然、高等教育終了証明書の原本で、自宅やオフィスの壁に飾ってあるもの)などです。

今週初め、在越就労外国人を管理するための新たな規則が発表されたことを受けてざわつきが起こりました。

グェンタンズン首相が承認した法令によると、最低でも学士号を持っていて、それぞれ自分の専門分野で3年の実務経験がある人は、就労許可を取る必要がないというのです。この新規則は社内異動でベトナムにやって来る人にも該当します。

ベトナム労働傷病兵社会問題省によると、ベトナムにはおよそ7万4,000人の外国人労働者がいます。そのほとんどは近隣諸国からの技術を持たない労働者たちです。けれども、就労許可申請手続きは分かりにくく、ビジネス上の重荷となり、高い技術力を持つ外国からの人材を求める多国籍企業やその他の組織にとっては不満の種となっていました。

新規則は高校や大学の教師にも該当し、就労許可申請を免除されることとなります。
ただ、この新規則の表明と同様、実際には曖昧な点があります。政策を打ち出すことと、実際にその政策がいつどのように施行されるかということは別物であることが多いのです。

新規則は、ベトナムでの1年の労働日数が30日以上・90日未満の人が該当するとの報道がありますが、もしそうなら、規則は、短期でベトナムに滞在するコンサルタントのために考えられたものだということが分かります。

何よりも明らかなのは、外国人は、ビザやその他の必要書類を揃える必要がまだあるということです。ただ、(ベトナム移民局が所属する)公安省が認めるなら、まだどうなるか分かりません。

担当機関はまた、ベトナム人労働者を国際競争から守ることで頭がいっぱいです。ある官僚は外国人労働者がベトナムで働くことができるようベトナム語のテストを設けるべきだと提案しています。そうなれば事実上、公平かつ効率的に外国人労働者のほとんどを除外することができるからです。

ASEAN経済コミュニティの一角として、ベトナムはすでにASEAN一帯の人材の流れの一部になっています。ベトナムは経済の急成長に伴い、世界中から訪れる技術と知識を備えた労働者が流入することで、利益を得ることができるでしょう。市場経済を復活させてから30年、ベトナムは今もかつての遺構と新しい現実の調和を試みています。

在越外国人ガイドとしてベトナムで暮らす

生活を大きく変えてベトナムで暮らしたいと考えている人たちは、ベトナムに来てがっかりさせられることはないでしょう。ベトナムなら生活費はかからないし、文化も活気に満ちています。英語教師の仕事や、急激な変化を迎えているベトナム巨大成長マーケットの仕事などで、在越外国人は自分たちが望むライフスタイルを無理なく維持することができます。けれども、ただ現地に行って良い生活を望むだけというわけにはいきません。動き出す前にしっかりと考えておかなければならないことがあります。

事前に書類を準備する

ベトナムで働く予定があるなら、認証済みの必要書類の写しを全て用意しておきましょう。就労許可がなければベトナムでの労働は違法となります。書類なしでもしばらくは捕まらないかもしれませんが、不法就労者とその雇用者を取り締まるため、労働局は不定期にチェックを行います。そして法外な罰則金が科せられるのです。取り締まりを受けないためによく行われる手段の一つに、3カ月の観光ビザで入国し、その間に仕事を見つけるという方法があります。ビザが切れたら一度国外に出て、また戻ってくる必要がありますが、バスでカンボジアに行けば、それも一日だけのことです。

自分が求めるライフスタイルに合った場所を選ぶ

山間の村から、何百万という人でごった返した都市やビーチまで、ベトナムには新生活をスタートさせるのにうってつけの移住先が数多くあります。どこで暮らすべきか、何をして生計を立てるか、そしてどんな性格なのかにもよりますが、まずは人気の高い場所から検討してみましょう

ホーチミン市

在越外国人の半数以上は、この暑くてうだる巨大都市を故郷と呼びます。
人ごみや交通渋滞が苦手だったり、緑が必要な人は他の場所に住むことを検討しましょう。おわかりとは思いますが、ホーチミン市は大都会なのです。

ホーチミン市には、どんな予算にも合う宿泊施設があり、すばらしいレストランもこれ以上ないというくらいあります。在越外国人コミュニティは大きく、多様で、新たな友人を見つけるのも簡単です。在越外国人の多くは教師として働いていますが、ホーチミン市はテクノロージー・製造業・観光の中心地なので、様々な分野や専門の仕事を見つけることができます。ただ、現地の人々ははるかに安い賃金で同じ仕事を行うので、専門技術者の多くは仕事を見つけるのが難しいかもしれません。

ハノイ

ハノイはホーチミン市ほど国際的な雰囲気ではありませんが、在越外国人の多くがその文化や独特な印象から、この街を好みます。一年の大部分を占める涼しい気候も良いところです。ベトナム政府・官僚権力のお膝元であることから、ビジネス系の仕事は、数多くの海外企業が居を構えるホーチミン市ほどは多くありません。教師の仕事は人気がありますが、多数の在越外国人が最終的に自分でビジネスを始めたりもします。ただし、ベトナム人の配偶者か、本当に信頼できる友人がいない限り、ビジネスを始めることは不可能に等しいでしょう。ですから、お店を持つなどビジネスのことを考える前に、まずはベトナムで一定の期間暮らしてみる必要があります。

ダナン

都会を感じながらビーチ三昧の暮らしがしたいという人は、ダナンが良いでしょう。この街は人気沸騰中で、すでに定住している在越外国人は、ハノイやホーチミン市よりもダナンを選びます。ダナンには美しいビーチだけでなく森林があり、山の近くでは人里離れた地域ならではのユニークな体験ができます。外国所得のあるデジタルノマドには最高のロケーションです。ただし、定期的なビザランが必要となるので注意が必要です。

ニャチャン

ニャチャンはロシア人に人気のホリデースポットです。そのため、この街で得られる仕事のほとんどは観光関連です。素晴らしいビーチがあり、観光地らしいリラックスした雰囲気の美しい所で、ダナンと同様、定期的なビザランが苦にならないデジタルノマドには最適のスポットです。

ブンタウ

他と比べてビーチの美しさは劣りますが、そのゆったりとした生活のペースと、ホーチミン市までの近さから、在越外国人からの人気は上昇中です。(ホーチミン市まではエアコンの効いたバスでわずか2時間です。)そのため、常駐する必要のない仕事をしているなら、この静かな浜辺の街で暮らし、必要に応じて、いつでもホーチミン市まで行く事ができます。ブンタウは最近、在越外国人やデジタルノマドをターゲットとする複数の雑誌で特集が組まれるようになっています。

用意すべきお金の金額は?

ベトナムではほとんどお金を使わなくても何とかやっていく事ができます。けれども、移住するまでにそれなりにまとまった額を貯蓄しておくべきでしょう。就労許可と商用ビザの取得には、雇用者が経費のカバーに渋い顔をする場合、数百ドルは必要となります。また、ほとんどのアパートでは事前に保証金と最初の1カ月分の家賃が求められます。仕事の給料が、最初のひと月を終えるまでもらえない場合は、新居の準備に貯蓄を食いつぶすことになるかもしれません。ひと月にかかるであろう費用を調べ、少なくとも半年暮らすのに十分な額を持参することをお勧めします。

移動の手段は?

ベトナムではバイクが安く、多数流通しています。万一の事故に備えて、保険に入っておきましょう。またベトナムに来る前に国際運転免許を取得しておきましょう。そうしておけば、ベトナムの運転免許への変更が面倒ではありません。国際免許がないと、保険に入ることができず、事故に遭っても全て自分で支払うことになってしまいます。安全のために、ベトナムの道路状況に慣れるまではウーバー(Uber)やグラブ(Grab)などの配車ウェブサイトを利用して移動することをお勧めします。慣れてしまえば何てことはありませんが、初心者ドライバーの人は間違いなく圧倒されてしまうでしょう。

現地の文化

ベトナムの人々は驚くほど外国人に友好的です。外国人はベトナムの経済的な発展を後押ししてくれるため、彼らは外国人がいることは、自分達にとっても都合が良いと認識しています。慣習や礼儀作法に関しては、ベトナムの人々はとても人当たりが良く、寛容なため、現地に行ってしまえばそれなりに学ぶことができます。移住に関する書類と貯金、そして生計を立てるためのおおよそのアイディアさえ準備していれば、あとはベトナムに来てからでも何とかなるでしょう。

仕事とボランティア

ボランティア

ベトナムでボランティア活動をする機会は極めて限られています。ベトナムのボランティア市場は、多くの専門的開発スタッフがベースとなっているからです。
詳しい情報は非営利団体リソースセンターのNGOリストをご覧になってください。そこにはベトナムをサポートしている全NGOのデータベースがあります。サービス・シビル・インターナショナルから、フレンドシップ・ビレッジを含む ベトナムの様々なボランティアサイトにリンクすることができます。フレンドシップ・ビレッジは、枯葉剤被害者をサポートするため、南北両方の退役軍人によって設立されました。国際共生社会研究センターは、国際交流やノン・フォーマル教育を通して、発展の過程で生じる問題に取り組んでいます。パン・ネイチャーでは、環境セクタ—での活動チャンスがあるでしょう。

ベトナムで職業斡旋を行っている国際組織は、イギリスのボランティアサービス・オーバーシーズ 、オーストラリアボランティア・インターナショナル、ニュージーランドのボランティアサービス・アブロード、そしてアメリカに拠点を置くインターナショナル・ボランティアHQです。最後のインターナショナル・ボランティアHQは、ハノイで幅広くボランティアプロジェクトを展開しています。

仕事

ベトナムでは、欧米人や企業が所有するバーやレストランでの不定期の仕事もあります。この手の仕事は即金払いで、書類手続きなしで働くことができます。ダイビングスクールやアドベンチャースポーツなどの施設は常時インストラクターを募集していますが、ベトナムを訪れる欧米人にとっての主な仕事は英語教師が多いでしょう。
職探しは口コミが多く、募集広告などはほとんど出されません。

教師

ベトナムの学生に最も人気のある外国語は英語です。北京語やフランス語、ロシア語の需要もいくらかあります。教師の仕事としては、民間の語学センター(時給10〜18米ドル)や家庭教師(時給15〜25米ドル)が確実です。ホーチミン市やハノイ市でなら他の地域より賃金も良いでしょう。

ベトナムの#MeToo(ミートゥ—)運動-ベトナムでも芽生えた#MeToo運動 男女平等の限界が露呈-

フェイスブックへの投稿が始まったのは4月19日のことでした。国内最大手新聞のトォオイチェーの若いインターンが指導係の編集者に性的暴行を受け、自殺を図ったというベトナム人ジャーナリストのメッセージです。その後数日も経たぬうちに、ベトナム中の女性がレポーターとして職場で働いていた際に受けた嫌がらせや虐待についての体験談の共有が始まりました。彼女達は投稿メッセージに、「#toasoansach(クリーンな編集室を)」、「#ngungimlang(泣き寝入りはやめよう)」、そして「#MeToo」とハッシュタグを付けました。

世界的な運動がベトナムに起こり、29歳のフリージャーナリスト、バオウェンさんの投稿は世間を巻き込んだ議論を引き起こしました。バオウェンさんの#MeToo運動に関するフェイスブックへの投稿に対するシェア数はおよそ2,000回にのぼり、「見て見ぬふりをしている問題」に対する声を上げたのです。その問題とは、世界と同様に、性的嫌がらせ・性的暴行はベトナムの多くの女性にとっても日常的だというものです。NGOのアクションエイドが出した2014年報告によると、ベトナム人女性・少女の87%が公共の場での性的嫌がらせを経験しています。

ウェンさんは、フリージャーナリストになるまでに3つの編集室で勤務していましたが、働き始めてすぐに業界特有の性的嫌がらせを認識しました。そしてこの問題は業界全体で日常的に起こっていると考えています。この10年ほど目にしてきた女性側からの抗議はささやかなものだったため、今回のトォオイチェー新聞に対する抗議にウェンさんは驚かされました。

「被害に遭った女性たちが声を上げても、全てがすぐに忘れ去られてしまいます」と、ウェンさんは取材に答えます。
韓国や日本、その他のアジア諸国は、#MeToo運動がニュースの見出しとなり、深く根ざしていた家父長制の影響が原因だとしていますが、ベトナムはそれとは異なります。ベトナムの女性の労働参加率は世界でも上位に位置しており、男女の学歴も同様で、議会での女性の割合も平均以上です。与党の共産党はこういった成果を強調することを望んでいます。国営ベトナムの声放送局は昨秋、ベトナムがこの20年で迅速に性差別排除行うことに成功した世界の国の上位に入ったと公表しました。けれども、ベトナムでも産声を上げた#MeToo運動は、女性に対する性的嫌がらせや暴力がしつこく残っていることを示しましています。教育や政治に至るまで、ベトナムの女性がアジア地域の中で自立している方だとしてもです。

2015年のベトナム刑法改正以前は、刑法で違法とされた性的暴行の定義は狭いものでしたが、最新の法律ではその定義は拡大され、「その他の性的接触」も含まれることになりました。けれども高いレベルで証拠が求められるだけでなく、男性の多い警察では理解が少ないため、ほとんどの被害者が事件を裁判に持ち込むことを阻まれてしまいます。韓国では、自国の性教育が時代に逆行した犠牲者非難であると批判が起こっていますが、ベトナムの学生は、性的暴行についての情報はほぼ知らされません。また、性的不品行に対する行動規範や告発システムを設けている職場もほとんどありません。

ベトナム社会発展研究所の設立者で所長でもあるクアットトゥホン氏は、性差別問題の取り組みに対し、ベトナムでは社会的関心がほとんど見られないとしています。同氏は2004年に、当時ではまだ新しかった、ベトナムの性的嫌がらせに関する本を執筆した社会学者でもあります。性的嫌がらせは、そのように認識されていなければ、多くの場合は、女性に対する普通の男性の普通の接し方だとみなされます。

「性的嫌がらせというものが、ベトナムでは人権問題というより文化的なものだと考えられているのでしょう。ただ、それが職場で起これば政治的関心事になり、そうなると多くの人が関わってくることとなります。そして犠牲者を黙らせたり、事実を隠ぺいするために多くの力が働くのです」と、ホン氏は話します。

上級編集者のダンアイントゥアンが、ホーチミン市人文社会科学大学のジャーナリズム専攻の学生インターンに性的暴行を加えたことを訴えた投稿が上げられると、トォオイチェー新聞は声明を発表し、インターンの学生が自殺を図ったことを否定しました。その後の同新聞の記事によると、編集委員会は4月19日、トゥアンに停職を命じ、内部調査を始めたとのことです。のちにトゥアンは辞職を申し入れ、同新聞は警察に届け出たと報じていますが、トゥアンは全面否定しています。(トォオイチェー新聞編集部への電話インタビューでは、コメントを拒否されました。)

ソーシャルメディアによりこの話が世間を駆け巡ると、ジャーナリズム関連の仕事に就いている女性を含む複数の人が、事件の責任はそのインターンにあるというコメントを出しました。彼女のキャリアをサポートすると持ちかけられ、それに同意したに違いないというのです。

学生のブイトゥーさん(22歳)は、ホーチミン市で被害者となったインターンの女性と共に学んでいたましたが、こういった反応には驚きませんでした。編集室で働く女性たちは、上司と付き合ったり、夜を共にすることが、昇進のチャンスへダイレクトに結びつくと考えるようになるからだと、ブイトゥーさんは話します。また、こういった文化にたてつくことは難しいと言います。若いレポーターの昇進には上司からの直接の推薦が必要なため、女性達は声を上げることでジャーナリストへの道が閉ざされるのではと思い悩むのです。トゥーさんは、昇進のためにはハラスメントを受け入れるしかないと感じ、その業界から去ることとなった女性を複数知っています。

トゥーさんも編集室でのインターシップ期間に、女性達が同僚の男性たちにハグや、その他のスキンシップをやめるよう求めても、相手にされなかったのを目にしています。「私たちがそういった行動に反応すると、男性陣は、みんな大家族の兄妹姉妹なのだから、そんなに深刻に受け取るなと言うでしょう」と、トゥーさん。

ベトナムには、女性は貞淑であるべきだというような、男尊女卑の伝統的儒教思想の影響が今も残っています。どんな形であれ性的虐待について声を上げることは、恥をさらし、非難を受ける可能性があります。また、性的嫌がらせを受けた後のことにも責任を持たなくてはならなかったと、取材に応じた女性たちは話していました。トゥーさんは一度、夕方頃に年上の既婚男性とオフィスでコーヒーを飲み、車で家まで送ってもらったことがあります。その際、ホテルの前を通り過ぎようとしたあたりで、その上司は速度を落とし、一晩どうかと聞いてきたそうです。彼女はそれを断り、その上司もそれを受け入れ帰途につきました。

トゥーさんは「すぐにでも車から降りたかったです。とても混乱しました。好意を持っていると誤解を招くような行動をしただろうかと考えました」と言います。

ベトナムでコワーキングスペース急増

5月29日、ベトナムの供給業者関連のコワーキングスペース、そして特定のレンタル業者をターゲットとしたタイプのコワーキングスペースが増加していると、不動産サービス供給業者のRESS不動産やCBREベトナムが述べています。

2018年4月現在、ハノイ市に19箇所、ホーチミン市に15箇所のコワーキングスペースがあり、海外の業者を含む、23の業者によって運営されています。今年末までに、全45箇所のコワーキングスペースのうち、ハノイ市は56%、ホーチミン市は44%を占めるだろうと予測されています。

この5年ほどで、ベトナム国内のコワーキングスペースは55%増加しています。

CBREベトナムの専務理事兼研究コンサルティング部門責任者のドゥオントゥイズン氏は、Toong(トーン), Up(アップ), Cicro(シクロ), Dreamplex(ドリームプレックス)のような国内のコワーキングスペース供給業者がマーケットシェアを拡大していると述べています。けれども、コワーキングスペースの数が増え、業者が成長する中で、コワーキングスペースを一つしかもたない小規模供給業者も急速に増えているのです。

そのような小規模供給業者のマーケットシェアは2018年、昨年の30%から42%まで伸び、大規模業者はマーケットの12%を占めると予測されています。

中国のNakedHub(ネイキッドハブ)や、同国香港のHive(ハイブ)のような海外の業者も、ベトナムの市場で足場を固めています。Hiveは2018年後半、ホーチミン市に新たなコワーキングスペースを開設する予定なのに対し、NakedHubは今年の第ニ四半期、ホーチミン市とハノイ市にさらに2つのコワーキングスペースを開設するとされています。

業者はレンタル費用を安価に抑える必要があるため、コワーキングスペースが高級ビルや市街地にあることは少なく、逆に、中心地から離れた空きのある建物にあることが多いと、CBREベトナムは述べています。

ベトナムの業者ToongやUpのコワーキングスペースはどちらも、Bクラスかそれ以下のビルなどに居を構えています。

ただ、ハノイ市やホーチミン市では、コワーキングスペースは市の中心街に近いエリアに集中している傾向にあります。ハノイでは最近、新しいオフィスやショッピングモールのあるカウザイ区にコワーキングスペースがいくつか見られます。
そのほかのコワーキングスペースの多くは、2・3・4区、フーニャン区、カウザイ区のような、ホーチミン市の中心エリア近郊の地区に点在しています。

コワーキングスペース供給業者は現在、ターゲットを特定のクライアントに絞るよう方向転換を行っているため、コワーキングスペースの所在地にも影響が出てくるでしょう。

Toongは、様々なレンタル業者に場所を提供しており、それぞれのコワーキングスペースは独自のデザインが施されています。またCicroは、クライアントにとって市街地の異動が簡単に済むような場所にコワーキングスペースを開こうとしています。そしてUPは、新規スタートアップ企業の誘致に力を入れています。

ドゥオントゥイズン氏は、コワーキングスペースの利用者の91%が35歳以下のミレニアル世代であるというCBREの調査結果について言及しています。その利用者数は67%という世界の平均よりも高く、ベトナムの若者の人口動態が反映されています。

利用者のおよそ54%はスタートアップ企業の創業者や従業員で、およそ14%がフリーランサーや自営業者です。55%以上がIT産業で働いており、残りは観光業、金融経済業、教育産業、マーケティング・不動産のような業種です。

労働安全の優先順位向上

オンラインニュースのbaotintuk.vn(バオティントゥック)は、労働者の健康と企業資産を守るため、複数の地方自治体が職場環境の安全の向上を後押ししていると報じました。

ホーチミン市工業団地(IZs)および輸出加工区(EPZs)管理委員会によると、このエリア内の企業のほとんどは、以前と比べ職場環境の安全性に一層の注意を払っているようです。
けれども、健康・安全問題をないがしろにしている企業も中には存在し、業務上の事故はいまだになくなりません。
ホーチミン市では昨年、業務関連事故が1,500件発生し、負傷者1,350名、死亡者213名を出しました。管理委員会は、そのうち3件が工業団地および輸出加工区で起こったと報告しています。

地方自治政府は今年、事故削減のため、企業や労働者達に労働安全意識を高めるよう求めています。
管理委員会のファムフイトン委員長代理は、新聞社の取材で「現場での事故を減らすためには、雇用者・非雇用者両サイドの注意が必要です。」

「雇用者は、現場の安全ルール作りだけでなく、生産連鎖・労働状況の見直しが必要です。また、労働者の安全教育も行うべきでしょう」とトン委員長代理。

「被雇用者側は、職場の安全ルールに従うことで、自分自身・企業サイドの両方を守る一助となります」と話します。
中央高原のダクノン省では、の採掘処理事業での労働安全が向上しています。
同省の労働傷病兵社会問題省労働局は、事業者たちとともに、ボーキサイト鉱石、土、砂、石の選鉱工程の生産性向上と労働安全確保のため、最先端設備の導入に力を入れました。
鉱石の採掘産業には産業用爆薬が不可欠ですが、安全向上の取り組みの結果、地方自治体は、鉱山の発破作業を厳しく管理できているようです。

現在、省内には建築資材に使う石を採掘するための採石場が数十とあります。
地方自治体は、鉱山の発破作業に関して、発破位置から居住エリアまでの安全距離を確保する、使用する爆薬物の数量を規制するなど、採石業者に対し、規則の順守を求めています。

同省では最近、採掘現場での発破作業に関わる事故が数件起こっているため、こういったことは非常に重要であると、労働傷病兵社会問題省ダクノン省労働局長フィンゴックアイン氏は述べています。

「採掘処理事業での労働安全の確保は最優先事項です」とアイン氏。
ベトナム労働傷病兵社会問題省(MOLISA)の労働安全部門が先月行った調査によると、建設部門は現在、業務中の死亡事故数が最も多く、ベトナム国内の事故総数の20%以上を占めています。

続いて建築資材生産部が国内の死亡事故全体の9%以上を占め、2番目に多い状態です。
高所からの落下が業務中主な死亡事故の原因で、全体の27%以上です。続いて感電が2番目に多く、全体の13%となっています。

鉄道会社 スタッフのスマートフォン使用を禁止

ベトナム鉄道は、運行の安全と秩序の確保のため、スマートフォンを含む電子機器の使用禁止を検討中です。
これは、立て続けに起きた事故で2名の死亡者・11名の負傷者を出したことを受けて講じた列車事故防止を目的とした企業取り組みの一部です。

今月初めに発表された決議案によると、運転士、あるいは鉄道警備員やその類の職務にある職員は、勤務時間中の、電子機器の使用、特にスマートフォンの使用が禁じられます。

鉄道運行の安全確保を目的としたこのキャンペーンのを指揮するため、6月から8月の間に運営委員会が開かれます。
ベトナムつ鉄道は今月、鉄道の運行と安全の確保に集中するため、全ての部署に、社員旅行やスポーツイベントを一時的に取りやめ、ミーティングを行うことを要求しました。

ベトナム鉄道では統合監視システム立ち上げ 計画の研究と、誰もがアクセス可能な監視システムを統一するよう求められてきました。監視システムの投資、
導入、管理、開発には、統一性が求められ、また経費の節約などにも応じる必要があります。

ベトナム鉄道は鉄道のセキュリティ・安全管理担当の複数の部署に、次のような要求を課しています。まず、協力して列車事故の分析を適時に行い、原因を特定し、関連部署内で責任の所在を明らかにすること。また、業務手順に確実に従い、鉄道交通の安全をまもるための迅速かつ長期的な対応策を提示すること。そして、スタッフの勤務時間と収入を見直し、必要に応じて変更を加えることです。

今年5月、チュオン・ホア・ビン副首相は公共旅客輸送機関に対し、早急に列車事故収拾のための措置を講じるよう促しました。
列車事故は連続して5月末に起こり、死者2名、負傷者11名を出しました。線路、車両も損壊し、鉄道は数時間不通となりました。

昭和アルミニウム缶-ベトナムでの第二生産拠点が完成-

昭和電工株式会社(SDK;TSE:4004)の子会社で東京品川に本社を置く、昭和アルミニウム缶株式会社(SAC)の新工場がベトナム中部のクアンナム省ダナン市に完成しました。この工場は昭和アルミニウム缶株式会社の子会社、ハナキャン社のもので、竣工式が6月8日に行われています。(2017年2月14日の「昭和アルミニウム缶 ベトナムに第二生産拠点の設立を決定」をご覧ください。)

ハナキャン社の新工場はベトナムで二つ目の生産拠点となり、その年間生産能力は缶体7億個です。同社は現在、生産ラインの総キャパシティを上げるため、ハノイ市近郊のバクニン省にある自社工場での缶蓋生産に向けて動いています。この取り組みが完了する10月には、缶体・缶蓋の総生産キャパシティはダナン工場と合わせて、年間20億個となる予定です。

2014年5月のハナキャン社獲得以降、昭和アルミニウム缶株式会社は最先端の生産技術、そして品質管理システムの導入を実施しており、ベトナム北部全体での売り上げを順調に伸ばしてきました。
同社は、より質の高い製品を提供し、市場のニーズに応え、ハナカン社の新生産ラインをベトナムでベストにするために尽力することで、ベトナム中部での更なる売上の向上を目指しています。

昭和電工株式会社について

昭和電工株式会社(SDK; TSE:4004, ADR:SHWDY)は、大手化学製品製造会社で、重工業から電子コンピューター産業分野にわたり、広く製品提供を行っています。石油化学部門ではエチレンおよびプロピレンなどのクラッカー製品を提供しています。また、ケミカル部門では産業用の高性能・高純度ガス、そして半導体やその他産業用ケミカル製品を、無機事業部門ではアルミナや研磨剤などのセラミック製品、耐熱・黒鉛電極、そして高品質カーボン製品の提供を行っています。

さらにアルミニウム部門は、アルミ材、高付加価値アルミニウム製品を、エレクトロニクス部門はハードディスク、超高輝度LEDやレアアース磁石合金などの化合物半導体を、そしてエレクトロニクス部門の先端電池材料事業部(ABM)は、リチウムイオン電池関連製品を提供しています。